REACH規則

EACH規則とは、化学物質の登録・評価・認可・制限に関するEU法

健康や環境保護、欧州の科学産業競争力の維持向上が目的。

Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicalsの頭文字をとってREACH

 

  1. 既存化学物質と新規化学物質をほぼ同等
  2. 従来は政府が実施していたリスク評価を事業者に義務
  3. サプライチェーにおける化学物質の安全性及び取扱についての情報共有を強化
  4. 成形品に含まれる化学物質の有無や用途についての把握を要求

 

産業プロセスで「使用」される物や、生活に「使用」される物に適用されるばかりでなく、理念上は「使用」される全ての化学物質に適用される。したがって、この規則はEU全域の大部分の企業に多大な影響を与えるものである。 ここで説明した「使用」は、「REACH規則の第3条24」で次のように定義されている。 「useとは、あらゆる加工、配合、消費、貯蔵、保存、処理、容器充填、容器から容器への移動、混合、物品製造、あるいは、その他の利用を意味している」この「配合(formulation)」は、「コンパウンド製造」と訳されている場合もある REACHは企業に立証責任を求めている。この規則を遵守するためには、企業は自身がEUで製造・販売する物質に係るリスクを特定し管理しなければならない。企業は欧州化学物質庁に対して、その物質を安全に使用できるかを実証しなければならず、そして取扱者に対しては、そのリスクを管理する方策を伝達しなければならない。 リスクが管理できない場合には、当局は物質の使用取扱に制限をかけることができる。長期的には、物質の中で最も危険有害とされる物はより危険有害性が低いとされる物に置き換えなければならない。 登録(Registration) 製造者または輸入者は、化学物質をEU域内で年間1t以上製造、または輸入する場合、既存化学物質、新規化学物質に関わらず登録を行うことを義務付けられています。 また化学物質を、年間1t以上製造または輸入する場合は技術一式文書を、年間10t以上製造または輸入する場合は、技術一式文書に加え化学物質安全性報告書(CSR)の提出が必要です。 登録対象となるのは化学物質そのものです。塗料などの混合物は、それを構成する化学物質が登録対象になります。ポリマーは登録対象ではありませんが、それを構成するモノマーは登録対象になります。さらに、ある条件では成形品中の化学物質や中間体などが登録対象になります。 登録義務のある者は、EU域内の製造者・輸入者、もしくはEU域外の製造者が指名するEU域内に拠点のある「唯一の代理人」です。 なお、既存化学物質などの段階的導入物質は予備登録を行い、生産量・物質の有害特性により登録期限に猶予を設けて登録を進めてきましたが、これらは2018年5月31日で登録を完了しました。これ以降は新規化学物質などの非段階的導入物質と同様、上市前に登録することになります。 同じ物質を複数の製造者、輸入者が登録する場合、物質に関するデータを共有することが求められています。段階的導入物質の予備登録者は同一物質の予備登録者で構成される物質情報交換フォーラム(SIEF)への参加が義務付けられます。 評価(Evaluation) 登録一式文書の評価と登録物質の評価が行われます。 登録一式文書の評価では「登録一式文書の法令適合性の点検」「試験提案の審査」が行われます。 CMR(発がん性、変異原生、生殖毒性があるとされる物質)、PBT(難分解性、生物蓄積性、毒性のある物質)やvPvB(極めて残留性・蓄積性の高い物質)などの高懸念物質や年間100t以上の広範囲かつ拡散的なばく露をもたらす用途の危険性に分類される物質の登録の試験提案は、優先的に審査が実施されます。 認可(Authorization) 人の健康や環境への影響が懸念される物質は、認可対象候補物質(CL物質)とされ、さらにその中から検討を経て認可対象物質となります。認可対象物質を使用、または上市する場合、特定された用途ごとに化学品庁の認可を得る必要があります。認可申請は取扱量が1t未満であっても必要です。 製造者・輸入者・川下企業は、認可対象物質の代替物質、代替技術を考慮しなければなりません。 制限(Restriction) 人の健康や環境にとって、受け入れられないリスクのある物質の製造、上市および使用は、EU全域で制限条件を付けたり、必要があれば禁止します。 サプライチェーンでの情報伝達 化学物質を安全に使用するという目標を達成するためにはサプライチェーン上での情報の伝達が不可欠です。 川上企業から川下企業へ物質・調剤中の物質の情報提供は、安全性データシート(SDS)によって行われています。これに加えて、年間10t以上登録の危険有害性、PBTやvPvBの物質では、ばく露シナリオをSDSの附属書として提供する義務が規定されました(拡張されたSDS)。 川下企業は川上企業へ、化学物質の新しい有害性情報やSDSの特定された用途の管理対策に疑念がある情報を提供することが義務付けられました。 高懸念物質が成形品中に0.1wt%を超えて含有される場合には、成形品の供給者は川下企業に対して、また、消費者から要求がある場合は45日以内に無料で、その成形品を安全に使用できる情報(少なくとも物質名)を提供する義務があります。